千葉県市原市姉ヶ崎の税理士関口です。
「返品債権特別勘定」の続きです。
目次
<返品債権特別勘定(その他)>
法人税基本通達9-6-6、9-6-7、11-3-8、11-2-21、11-2-22に記載があります。
(返品債権特別勘定の金額の益金算入)
9-6-6 返品債権特別勘定の金額は、その繰り入れた事業年度の翌事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)の益金の額に算入する。(平10年課法2-7「十三」、平15年課法2-7「二十七」により改正)
洗替え処理をしなさい。という規定ですね。
(明細書の添付)
9-6-7 返品債権特別勘定への繰入れを行う場合には、その繰入れを行う事業年度の確定申告書に返品債権特別勘定の繰入額の計算に関する明細を記載した書類を添付しなければならないものとする。(平10年課法2-7「十三」により改正)
法人税の確定申告書に明細書を添付しなさい。という規定ですが、明細書の様式は特に定まっていないようです。
(返品債権特別勘定を設けている場合の期末売掛金等)
11-3-8 法人が返品債権特別勘定を設けている場合には、令第101第1項第1号《売掛金基準》に規定する売掛金の帳簿価額には9-6-5(1)《返品債権特別勘定の繰入限度額》の雑誌の販売に係る売掛金の帳簿価額を、同項第2号《販売高基準》の対価の額には9-6-5(2)の雑誌の販売の対価の額を、それぞれ含めないことに留意する。(平10年課法2-7「十六」、平20年課法2-5「二十四」により改正)
二重利得の回避の規定です。返品調整引当金を計算する場合に、返品債権特別勘定に設定した金額を控除しなさい。という規定です。
もし、控除しないで計算しても良いとなると、返品債権特別勘定の計算に使った金額と返品調整引当金の計上に使う金額をダブル適用できて、その分税金が減ってしまうからです。
(返品債権特別勘定を設けている場合の売掛債権等の額)
11-2-21 出版業を営む法人が返品債権特別勘定を設けている場合の売掛債権等の金額は、当該事業年度終了の時における売掛債権等の金額から当該返品債権特別勘定の金額に相当する金額を控除した金額によることに留意する。(平10年課法2-7「十五」、平14年課法2-1「二十六」により改正)
もし、控除しないで計算しても良いとなると、評価性引当金の返品債権特別勘定の金額に、同じ評価性引当金の貸倒引当金を設定することができて、その分税金が減ってしまうからです。
(貸倒損失の範囲-返品債権特別勘定の繰入額等)
11-2-22 次に掲げるような金額は、令第96条第6項第2号イに規定する売掛債権等の貸倒れによる損失の額には含まれない。(昭54年直法2-31「六」により追加、昭59年直法2-3「七」、平10年課法2-7「十五」、平12年課法2-7「十八」、平14年課法2-1「二十六」、平23年課法2-17「二十四」、平24年課法2-17「二」により改正)
(1) 9-6-4《返品債権特別勘定の設定》により返品債権特別勘定に繰り入れた金額
(2) 外貨建ての債権の換算による損失の額
(3) 売掛債権等の貸倒れによる損失の額のうち保険金等により補填された部分の金額
もし、貸倒損失の金額に含まれるとすると、貸倒実績率が高くなり、貸倒引当金の計算上、多くの引当金が損金算入できることとなり、税金が減ってしまうからです。
(法人事業税における取扱い)
当該事業年度及び当該事業年度の前事業年度の確定した決算(仮決算による中間申告にあっては、当該事業年度開始の日から六月の期間に係る決算)に基づく貸借対照表(以下「貸借対照表」といいます。)に計上している総資産の帳簿価額の合計額(繰越欠損金、両建勘定、返品債権特別勘定など資産の帳簿価額に含まれないものを控除した額)を記載します。なお、税効果会計を採用している場合に計上される繰延税金資産勘定の金額は、総資産の帳簿価額の合計額に含めて計算します。
参考までに書きましたが・・・法人税別表8(1)の数値を参考に書いてくれと記載の手引き等に書いてあるので、そこを間違わなければ大丈夫ですね。ちなみに別表八(一)「受取配当等の益金不算入に関する明細書」記載の手引きにも、同様の注意書きがありました。(https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/tebiki2017/01.htm)
今度は、返品調整引当金について書いていきたいと思います。
関口たかとし:お問い合わせ