返品調整引当金(繰入限度額)

千葉県市原市姉ヶ崎(青葉台)の税理士関口です。

「返品調整引当金」の繰入限度額について書いていきたいと思います。

 

目次

返品調整引当金(繰入限度額)

<法人税法>

法人税法第五十三条に記載があります。

 内国法人で出版業その他の政令で定める事業(以下この条において「対象事業」という。)を営むもののうち、常時、その販売する当該対象事業に係る棚卸資産の大部分につき、当該販売の際の価額による買戻しに係る特約その他の政令で定める特約を結んでいるものが、当該棚卸資産の当該特約に基づく買戻しによる損失の見込額として、各事業年度(被合併法人の適格合併に該当しない合併の日の前日の属する事業年度及び残余財産の確定の日の属する事業年度を除く。)終了の時において損金経理により返品調整引当金勘定に繰り入れた金額については、当該繰り入れた金額のうち、最近における当該対象事業に係る棚卸資産の当該特約に基づく買戻しの実績を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(第四項において「返品調整引当金繰入限度額」という。)に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
 第2項以下省略

<法人税法施行令>

「政令で定めるところ」は、法人税法施行令に記載があります。

繰入限度額の計算は、「売掛金基準」「販売高基準」の2つの方法があり、そのどちらかを選択するかは事業の種類ごとに又は事業年度ごとに法人の選択が可能である。

  • 「売掛金基準」(期末売掛金残高+受取手形)×返品率×売買利益率
  • 「販売高基準」 (期末以前2か月間の総売上高-期末2か月間に対応する売上
    割戻し)×返品率×売買利益率

※返品率の計算:(当期返品高+前期返品高)/(当期総売上高+前期総売上高)
※売買利益率の計算:(当期純売上高+広告料収入)-(左記に対する売上原価+販売手数料)/当期純売上高+広告料収入

(返品調整引当金勘定への繰入限度額)

第百一条

法第五十三条第一項 (返品調整引当金)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、第九十九条各号(返品調整引当金勘定を設定することができる事業の範囲)に掲げる事業(以下この条及び次条において「対象事業」という。)の種類ごとに、次の各号に掲げる方法のうちいずれかの方法により計算した金額の合計額とする。

一  各事業年度終了の時における対象事業に係る売掛金(法第六十三条第六項 (長期割賦販売等)に規定する長期割賦販売等に係る棚卸資産で、その収益の額及び費用の額につき同条第一項 本文又は第二項 本文の規定の適用を受けたものに係る売掛金を除く。)の帳簿価額の合計額に当該対象事業に係る棚卸資産(同条第六項 に規定する長期割賦販売等に係る棚卸資産で、その収益の額及び費用の額につき同条第一項 本文又は第二項 本文の規定の適用を受けたものを除く。以下この条において同じ。)の返品率を乗じて計算した金額に、当該事業年度における当該対象事業に係る売買利益率を乗じて計算する方法
二  各事業年度終了の日以前二月間における対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額(同日以前二月以内に行われた適格分割又は適格現物出資により分割承継法人又は被現物出資法人に移転した対象事業に係るものを除く。)の合計額に当該対象事業に係る棚卸資産の返品率を乗じて計算した金額に、当該事業年度における当該対象事業に係る売買利益率を乗じて計算する方法

2  前項各号に規定する対象事業に係る棚卸資産の返品率とは、買戻事業年度(当該事業年度及び当該事業年度開始の日前一年以内に開始した各事業年度をいう。以下この項において同じ。)における第一号に掲げる金額のうちに第二号に掲げる金額の占める割合をいう。

一  当該対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額(当該買戻事業年度のうちのいずれかの事業年度において適格合併により当該対象事業の移転を受けた合併法人にあつては、当該事業年度終了の日以前二年以内に開始した当該適格合併に係る被合併法人の各事業年度における当該対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額を含む。)
二  法第五十三条第一項 に規定する特約に基づく当該対象事業に係る棚卸資産の買戻しに係る対価の額の合計額(前号に規定する合併法人にあつては、当該事業年度終了の日以前二年以内に開始した同号に規定する被合併法人の各事業年度における当該対象事業に係る棚卸資産の買戻しに係る対価の額の合計額を含む。)
3  第一項各号に規定する対象事業に係る売買利益率とは、当該事業年度における当該対象事業に係る棚卸資産の販売の対価の額の合計額から法第五十三条第一項 に規定する特約に基づく当該事業年度における当該棚卸資産の買戻しに係る対価の額の合計額を控除した残額のうちに当該販売に係る利益の総額(当該残額がその売上原価の額と販売手数料の額との合計額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。)の占める割合をいう。
(返品率の特別な計算方法)
第百二条  内国法人を分割法人若しくは分割承継法人又は現物出資法人若しくは被現物出資法人とする適格分割又は適格現物出資(以下この項において「適格分割等」という。)が行われた場合において、当該内国法人が当該適格分割等の日の属する事業年度及び当該事業年度の翌事業年度開始の日以後一年以内に終了する各事業年度(以下この項において「調整事業年度」という。)における前条第二項に規定する返品率(以下この項及び第六項において「返品率」という。)を当該適格分割等により移転をする対象事業に係る棚卸資産の買戻しの実績を考慮して合理的な方法により計算することについて納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、当該内国法人のその承認を受けた日の属する事業年度以後の当該調整事業年度における返品率については、その承認を受けた方法により計算した割合とする。
2  前項の承認を受けようとする内国法人は、同項の適格分割等の日以後二月以内に、その採用しようとする方法の内容、その方法を採用しようとする理由その他の財務省令で定める事項を記載した申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
3  税務署長は、前項の申請書の提出があつた場合には、これを審査し、その申請に係る方法を承認し、又はその申請に係る方法により計算される割合をもつて法第五十三条第一項(返品調整引当金)に規定する返品調整引当金繰入限度額(次項において「返品調整引当金繰入限度額」という。)の計算を行うことによつてはその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算が適正に行われ難いと認めるときは、その申請を却下する。
4  税務署長は、第一項の承認をした後、その承認に係る方法により計算される割合をもつて返品調整引当金繰入限度額の計算をすることを不適当とする特別の事由が生じたと認める場合には、その承認を取り消すことができる。
5  税務署長は、前二項の処分をするときは、その処分に係る内国法人に対し、書面によりその旨を通知する。
6  第四項の処分があつた場合には、その処分のあつた日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額を計算する場合のその処分に係る返品率の計算についてその処分の効果が生ずるものとする。

まとめ

 平成30年度の税制改正大綱で、廃止がされることが決定しました。
3年の準備期間と9年間の経過措置があるので、それまでに対応を考えるようにというメッセージなのだと思います。
 出版業界は配送料金の増加を含めて、大きな再編が起こるかもしれません。

 

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