源泉徴収モレがあった場合

千葉県市原市姉ヶ崎(青葉台)の税理士関口です。

税務調査等で、個人への支払のうち源泉徴収が必要な支払いだと指摘されることがあります。

 

目次

源泉徴収漏れがあった場合

以下の2つの対処方法があります。

支払った相手先から回収

もちろん、税務調査で源泉徴収モレが指摘された会社は、源泉徴収税額を納付します。基本的には、源泉徴収税額を支払った先から回収するのが筋ですが、色々な問題から、回収できないことがあります。私が経験した案件では、中国の会社に支払った報酬でしたので、回収できませんでした。

相手先から回収を試みるとトラブルになる可能性があります。
トラブルにならなくても、気分はよくないでしょう。
もし回収できそう場合は、次回の報酬等から差し引くことで処理できますが、単発の相手先案件では、この処理はできません。

源泉徴収モレが指摘された会社が負担

徴収モレ分を相手先から回収せず、徴収モレ分は報酬等の追加払いとして処理して、これに係る源泉徴収税額を会社が税務署に納める。

参考条文

所得税法第221条《源泉徴収に係る所得税の徴収》関係
(支払者が税額を負担する場合の税額計算)
221-1 法第221条の規定により同条に規定する者から源泉徴収に係る所得税を徴収する場合において、その者がその徴収すべき税額を徴収していなかったときは、同条の規定により徴収すべき税額は、次により計算することとなることに留意する。

(1) 当該税額を徴収していなかった理由が、当該徴収すべき税額を支払者が負担する契約となっていたことによるものである場合には、取引手取額により支払金額が定められていたものとして、181~223共-4により計算する。

(2) 当該税額を徴収していなかった理由が、(1)の理由以外のものである場合には、既に支払った金額のうちから当該税額を徴収すべきであったものとし、既に支払った金額を基準として計算する。この場合において、その計算した税額を納付した支払者が、その納付した税額につき法第222条《不徴収税額の支払金額からの控除及び支払請求等》に規定する控除又は請求をしないこととしたときは、当該控除又は請求をしないこととした時においてその納付した税額に相当する金額を税引き手取額により支払ったものとし、その支払ったものとされる金額に対する税額を181~223共-4により計算する。

法人税基本通達9-5-3(強制徴収等に係る源泉所得税)
9-5-3 法人がその支払う配当、給料等について源泉徴収に係る所得税を納付しなかったことにより、所得税法第221条《源泉徴収に係る所得税の徴収》の規定により所得税を徴収された場合において、その徴収された所得税を租税公課等として損金経理をしたときは、その徴収の基礎となった配当、給料等の区分に応じてその追加支払がされたものとする。
法人がその配当、給料等について所得税を源泉徴収しないでその所得税を納付した場合におけるその納付した所得税についても、同様とする。

(注) 法人がその徴収され又は納付した所得税を仮払金等として経理し求償することとしている場合には、その経理を認める。

まとめ

月並みな言い方ですが、まずは個人に支払う場合には、基本的に源泉徴収を考えた方が無難です。
また、税務署、税理士等に確認してから支払う癖をつけましょう。相手から請求書(明細が記載された)をもらうことも重要です。税務調査の際に突っ込まれることが多いからです。

 

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