千葉県市原市姉ヶ崎の税理士関口です。
今日は、一般の事業会社にはあまりなじみのない「返品債権特別勘定」について書いていきたいと思います。
目次
<返品債権特別勘定(設定要件)>
法人税基本通達9-6-4に記載があります。
出版業を営む法人で法第53条《返品調整引当金》により返品調整引当金勘定を設けることのできるものが、雑誌(週刊誌、旬刊誌、月刊誌等の定期刊行物をいう。以下この款において同じ。)の販売に関し、その取次業者又は販売業者(以下この款においてこれらの者を「販売業者」という。)との間に、次の(1)及び(2)に掲げる事項を内容とする特約を結んでいる場合には、その販売した事業年度において9-6-5に定める繰入限度額以下の金額を損金経理により返品債権特別勘定に繰り入れることができる。(平10年課法2-7「十三」により改正)
(1) 各事業年度終了の時においてその販売業者がまだ販売していない雑誌(当該事業年度終了の時の直前の発行日に係るものを除く。以下この款において「店頭売れ残り品」という。)に係る売掛金に対応する債務を当該時において免除すること。
(2) 店頭売れ残り品を当該事業年度終了の時において自己に帰属させること。
なにやら難しいですね・・・
「返品債権特別勘定」は一種の評価性引当金です。
評価性引当金とは、将来の損失(資産の価値の損失)に備えるため、資産から控除される引当金です。主なものは、貸倒引当金です。
株式会社NHK出版は、貸借対照表の資産の部(流動資産)売掛金から控除する方法をとっていました。
下記は「日本雑誌協会 日本書籍出版協会50年史 」からの引用です。
”返品調整引当金と似ているが内容的には別なものである。その基本的考え方は,週刊誌などの定期刊行物は,次号が刊行された時点で陳腐化し,出版社に返品されると廃棄処分の対象となる。したがって,期末時点で店頭にあり,その後返品される商品はスクラップ評価が妥当であるとの実態が底流にある。
それを繰入限度額の計算方法でみると,
A.売掛金基準 {(期末における雑誌売掛金残-最終号分売掛金残)×返品率}-{ }のスクラップ価額
B.販売高基準 {(期末前2か月間の雑誌販売高-最終号分販売高)×返品率}-{ }のスクラップ価額
となっており,期末時点での店頭にある雑誌のうち,その後返品されるであろう商品をスクラップ評価し,その差額を引き当てるという内容である。まさに,週刊誌などの定期刊行物の商品の性格を反映させたものといえる。”
今日は、このくらいで、また続きを書いていきたいと思います。
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